一般に、 最大心拍数=220-年齢 の公式が指標とされている。この公式から私の最大心拍数は170拍となるが、実際にはハーフマラソン時で185拍程度まで上がっている。こんなに高い心拍数で走ってよいものかどうか。これが正常なのかどうか、医者に聞いてみたが、「個人差がありますからねぇ。なんとも言えませんね。あまり無理をしませんように」。
こんな疑問に答えてくれるWEBページが見つかった
http://wwwhbb.free.fr/conseils/freqcardiaque/frequence.htm
フランス語のページなので簡単に内容を紹介したい。
1) 従来のアプローチ
・AstrandとRymingが統計に基づいて公式を割り出した(1954年) 最大心拍数=220-年齢
・この最大心拍数に基づいて、その70-80%を有酸素運動ゾーン、80-90%を無酸素閾値と設定してトレーニングを組む
・Karvonenは、これを更に進めて次のトレーニング指標を作った
トレーニング心拍数=安静心拍数+(最大心拍数-安静心拍数)X(%強度)
50-60%: ウォームアップ、回復、減量
60-70%: 長距離走の基礎トレーニング
〜80%: 持久力強化
85-90%: ロングインターバル
90-95%: ショートインターバル
・1989年のVidalinの報告では、220-年齢の公式では30歳以上のスポーツ愛好者には適用できないことを示している。スポーツ愛好者の多くにとって、この公式に基づいた有酸素運動領域が合致していない。
2) 今回の研究アプローチ
・スポーツ愛好者は5段階のレベルに分ける: 1=運動しない 2=週1回 3=週2-4回 4=毎日+競技 5=トップクラス選手
・今回の研究対象をレベル3とし、さらに3-と3+に分類。3+は定期的かつ内容の濃い運動をしており、競技会にも参加するレベル
・対象者は男女、各年代層から広く40名を選んだ。主にランニング愛好者で一部は自転車愛好者
・心拍数は胸にセンサーを装着したハートレートモニターで計測
・最大心拍数: @15分ほどウォームアップ A1000mを走って170拍程度まで上げる B400mを全力スプリントしてこの時に最大心拍数を見る
・安静時心拍数: 安静時といっても朝と晩、姿勢などで大きく影響を受けるので、最も低い心拍数として朝起床時に計ったものとした
・無酸素閾値心拍数: 一時間以上の運動継続を妨げるレベルの乳酸値(4mモル)。乳酸値を実測できないので主観的にならざるを得ない
年齢 | 性別 男M、女F |
レベル | 安静時 心拍数 |
無酸素閾値 心拍数 |
最大 心拍数 |
18 | F | 3 - | 58 | 175 | 204 |
22 | F | 3 - | 60 | 175 | 200 |
22 | M | 3 - | 55 | 174 | 192 |
23 | M | 3 + | 50 | 177 | 201 |
24 | M | 3 - | 50 | 175 | 195 |
28 | M | 3 - | 45 | 173 | 189 |
29 | M | 3 - | 52 | 170 | 190 |
30 | M | 3 - | 45 | 175 | 188 |
31 | F | 3 - | 55 | 175 | 203 |
31 | M | 3 - | 45 | 175 | 184 |
31 | M | 3 - | 45 | 176 | 188 |
32 | M | 3 + | 50 | 175 | 195 |
32 | M | 3 - | 44 | 171 | 190 |
32 | M | 3 - | 48 | 174 | 190 |
34 | M | 3 - | 45 | 168 | 180 |
35 | M | 3 - | 50 | 174 | 190 |
35 | M | 3 - | 45 | 168 | 184 |
35 | M | 3 - | 45 | 168 | 185 |
35 | M | 3 + | 48 | 175 | 195 |
36 | M | 3 + | 50 | 173 | 195 |
36 | M | 3 - | 45 | 170 | 190 |
38 | F | 3 + | 55 | 172 | 190 |
40 | M | 3 - | 50 | 168 | 180 |
40 | M | 3 + | 45 | 170 | 187 |
40 | M | 3 - | 48 | 170 | 182 |
40 | M | 3 - | 47 | 171 | 192 |
41 | F | 3 - | 45 | 174 | 188 |
42 | M | 3 - | 55 | 172 | 190 |
47 | M | 3 + | 45 | 170 | 185 |
49 | M | 3 + | 45 | 168 | 190 |
49 | M | 3 + | 42 | 169 | 189 |
*50 | M | 3+ | 45 | 180 | 190 |
50 | M | 3 - | 50 | 165 | 175 |
50 | M | 3 - | 55 | 165 | 175 |
51 | M | 3 + | 45 | 168 | 180 |
51 | M | 3 + | 48 | 168 | 183 |
52 | F | 3 + | 55 | 165 | 178 |
52 | M | 3 + | 50 | 170 | 185 |
55 | M | 3 + | 48 | 170 | 185 |
55 | M | 3 + | 45 | 172 | 189 |
61 | M | 3 - | 45 | 168 | 180 |
*私自身の実測値+推定値。無酸素閾値はハーフで感覚的に上限とおいている心拍数。
3) 結論
このレベルのランニング愛好者では、 次の公式が従来の公式より妥当性が高い。
最大心拍数=210-年齢/2
無酸素閾値心拍数=180-年齢/4
自分自身の心拍数を同年代のデータに並べてみると違和感がなく、大きく変わらないことがよく分かる。無酸素閾値心拍数がやや高いが、@主観的な要素を含む A運動開始後の経過時間によって心拍数は変わる、 が原因と思われる。特にAは、同じ負荷で20分後に計る心拍数と50分後の心拍数では10拍程度は異なる。40名のデータ取得では比較的早い段階の心拍数と思われる。