Preparing my Iheren project イヘーレン岩面画撮影計画始動
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In the heart of the Algerian Sahara, there is a plateau called Tassili n’Ajjer where over 15,000 paintings and engravings are found over the area of 72,000sq.km. These rock arts are the memory of the past populations, from about 8,000BC to the first centuries of the current era, during the time when the Sahara was verdant until it became desert. Tassili n’Ajjer has a meaning of “Plateau with water” in the local Tuareg language. The plateau was a crossroad of various peoples and they left their own rock arts.
In Iheren, located in the northwest of Tassili n’Ajjer and far away from the touristic area, there is a marvelous prehistoric rock painting drawn by a pastoral people coming from the Mediterranean seaside. Its exact dating is unknown but presumably dated from 3,000BC to 1,500BC.
The Iheren painting is so unique and special. In a rock surface of 3 meters by 9 meters, various scenes of the life of the pastoral people are described with extreme fineness. “The most brilliant work found so far in the Sahara, the master piece of the School of neolithic naturalist” as commented by Henri Lhote, one of the first explorers who investigated thoroughly the rock arts of Tassili n’Ajjer, in his book Toward other Tassili(Vers d’autres Tassili). It is amazing that such fine art was realized by prehistoric nomadic people who were not under any dynastic power.
Sadly, about two third of the painting is invisible or difficult to recognize the details. However, reproduced paintings made by Pierre Colombel and Yves Martin at the time of the mission of H. Lhote in 1970 can be a good help to understand the complete scenes.
The purpose of my project is to photograph the complete mural in high definition by the end of 2013 and to exhibit the print at one to one scale in 2014 in Japan. Reproduced paintings will be reassembled and one to one scale print will be shown at the exhibition as well.
Project plan: http://hanafusa.info/docs/IherenProjectE7.pdf
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4年ほど前に訪れたアルジェリアのタッシリ・ナジェール国立公園(世界文化遺産)で見たイヘーレンの岩面画(自然の岩に描かれた彩画や刻画)に魅せられてしまいました。3m x 9mの岩のカンバスに遊牧民の様々な生活シーンが繊細な筆遣いで見事に描かれています。しかし、残念ながら2/3程度は見えないか、細部が判然としない状態です。
訪問後、欧米の研究者の文献を取り寄せて驚きました。1970年にフランスの調査隊が詳細な原寸の模写絵を作成していたのです。実物では部分、部分しか見えなくて気づきませんでしたが、実は壮大な絵物語になっているのです。日本の屏風絵の洛中洛外図などのように、遊牧民の生活のあらゆるシーンが余すところなく物語として描かれているのです。それも、紀元前1,500-3,000年の新石器時代の遊牧民が描いていたのですから大きな驚きです。
イヘーレン岩面画は、サハラ沙漠先史美術の最高傑作とも評されています。しかし、その割には一般には殆ど知られていません。場所も国立公園の主要エリアから遠く外れて観光客はめったに来ません。この壁画の一部は野町和嘉氏の「サハラ砂漠の画廊 タッシリ・ナジェール古代岩壁画」などに紹介されていますが、壁画の全容は知られていません。また、精密な模写絵が存在していること自体も研究者以外には知られておらず、壮大な絵物語であることを知る人は、まったくと言っていいほどいません。
そこで、3m x 9mの岩面画全体の原寸大実写写真と模写絵の原寸大写真をプリントして、展示会を開いて多くの人に見てもらったらどうかと考えるようになりました。フランスのサハラ岩面画研究の第一人者であるソレイユアヴー氏に相談したところ、「素晴らしいアイデア。日本だけでなく岩面画愛好家の多いフランス、イタリア、ドイツでも展示して欲しい」とご賛同をいただき、模写絵を所蔵するフランスの人類博物館に使用許諾を得る後押しをしていただきました。
イヘーレン岩面画は、地中海沿岸から南下した白人系遊牧民の手によるものとされています。彼らがタッシリ・ナジェールに来た時期には、すでに黒人系の遊牧民が生活していました。白人系の遊牧民による岩面画では、黒人系遊牧民の絵で良くみられる人間同士の戦いの絵がありません。本当に争いをしなかったかは定かではありませんが、同じ土地で異民族が共存する術を知っていたのかも知れません。今日の世界では、異民族間、異宗教間の争いが、ますます激しくなっています。古代人の知恵に想いを馳せることも必要ではないでしょうか。
今回のプロジェクトは、イヘーレン岩面画全体を1枚の高精細写真に収めるというものです。使用する機材は通常のデジタル一眼レフですが、岩面全体を40-50分割して撮影し、それらを合成して1枚の写真とします。これを原寸でプリントしますが(短冊状に分割プリント)、引き伸ばし写真とは違い、近くで見ても細部まで表現されます。本プロジェクトの最終ゴールは、2014年中に関西圏と首都圏で展示会を開くことにあります。現段階では展示会は白紙状態ですが、まずは1213年末までに撮影を実現する計画です。
本プロジェクトの企画書: http://hanafusa.info/docs/IherenProject-J7.pdf
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