5月30日。(第4日)
伊達公子(vs. Jecmenica) / だーて、ちゃちゃちゃ!
朝 5:30起床。今日も快晴、暑くなりそうだ。
ダンベルを軽くこなした後、片道 2Km の凱旋門に向かう。早朝のさわやかな空気が心地よい。途中、伊達選手が泊まっている(かも知れない)オフィシャルホテルのコンコルド・ラファイエットに立ち寄り、「そろそろ起きて、ジョギングでもしませんか」と声をかけてみるが、返事がない。「まっ、いいか。彼女は走るのが嫌いだったな。」
この2週間日本出張などでサボってしまったせいか、凱旋門までの上り坂がきつい。漸く辿り着いた凱旋門からの日の出がまばゆい。
「勝利の女神よ、日いづる国から来た公子を勝たせ給え。」
当然、凱旋門ではお百度を踏まないといけないのだが、始めたところで掃除のおじさんが怪訝な顔で見つめるので、取りあえず門の回りを1周するにとどめる。
凱旋門での勝利祈願の後、家に戻って冷水をかぶって体を清める(たっぷりのお湯につかった後、少しだけ)。
今日は、世界最小ビデオに加えて、もうひとつの秘密兵器をリュックに入れる。ふふふ、これで準備は万端だ。仕事の途中での立ち寄りなので麻のスーツに身を固めて出かける。
10:30、試合開始30分前にRoland Garros 第10コートに到着。しまった、選手席ま後ろは既に顔見知りのテニスおばさん達にとられてしまっている。しかたなく、2列目に陣取る。10:55、審判入場。ここで、本日の秘密兵器「必勝 日の丸はちまき」をつけて伊達選手の入場を待つ。日本人の観客が半分以上を占める。松浦駐仏大使もご臨席されている。これは心強い。
定刻通りに伊達選手が入場。きれいだ。去年は少しにきびが残っていたのに、今日の彼女はすべすべしている。お肌の曲がり角を過ぎたのでエステに通いだしたのだろうか?エステなどに通ってグランドスラムのタイトルがとれるのだろうか? 昨日は沢松がセレスに善戦してくれたが(少なくともうなり声では勝っていた)、伊達は残された日本選手としての自覚を持ってくれているのだろうか?
よけいな事を考えている内に試合は始まる。今日の2回戦の相手は、ユーゴのJecmenica選手。WTA74位。18才位だろうか、かなりパワーがありそうだ。
初っ端で幸先よくブレークを取るが、すぐにブレークバックされて、一進一退が続く。ライジング打法と言うのは相手の球のタイミングを計るまでに時間がかかるようだ。
ライジングでも当てるだけの球が多く、本来のカウンターがまだでない。このままではあぶない。何とかしなくては。恥ずかしいからやだという(恥ずかしいという年でもない)テニスおばさん達を説得して、「だーて、チャチャチャ、だーて、チャチャチャ.・・・・・」。この声援にかるくうなづいた伊達は、漸く調子が出てきて、6-4で第1セットを取る。第2セットは、本来のカウンター攻撃によるウィナーがでるようになり、安心して見られる試合展開となる。6-2で3回戦進出を決める。
試合後のサインでは、おばさん達に負けないようにしっかり割り込む。去年のダベンポートとの4回戦でのスナップを引き伸ばした写真を差し出しながら、「伊達さん、今年は去年より2つだけ多く勝ってくださいね」と言うと、一瞬サインする手を休めて私に視線を送ってにっこり微笑む。
6月1日。(第6日)
伊達公子(vs. L.Wild)
さて、伊達−Wild戦。
Home PageからWildの個人データを収集して試合に臨む。Wildはトスに勝ってレシーブを選んだ。なるほど、彼女のデータはファーストサーブでのポイントが少ない事を示している。ブレーク合戦からスタートしてお互いにサービスゲームが取れない展開。相変わらず、伊達選手の立ち上がりは苦しい。第一セット後半から本来の調子がでて、このセットを取って第二セットの 2-0までは順調に進む。ここでまた調子が崩れだしてナーバスになる。2-1でまだリードしているが、心配だ。なんとかしなくちゃ。でも今日は顔見知りがいない。思い切って回りの日本人に「伊達、チャチャチャ、しませんか」と声をかけると、しらーとした表情で見返されるだけで乗ってくれない。若い日本女性から「なに、このおじさん。ちょっとおかしいんじゃないのぉ?」と言う軽蔑のまなこで見られてしまう。(本当におかしいのかも知れないけど。) という訳で、応援が不調に終わり、伊達はどんどん追い込まれてしまう結果となった。このまま終わったらどうしよう。敗戦インタビューで、「今日は伊達チャチャチャがなかったので負けてしまいました」ということになるのではないか?責任 は重大だ。
と、いらぬ心配をし始めたところで、崖っ縁の伊達の勢いが急に盛り返す。「もう応援なんて当てにしない。自分しか頼れるものはいない。」と吹っ切れた伊達の勢いはすごい。
あー、今日も疲れる試合だった。
6月2日。(第7日)
伊達公子 (vs. L.Davenport)
ついに終わってしまいましたね。
スタートはいつになく好調でした。表情にもいつもの眉間のしわがなく、和やかでリラックスしているように感じられました。6-3で第1セットを取った後、4-2でリードしていた時までは、このまま終わってしまうものと思っていました。ここから6ゲーム連続負け。何がきっかけとこのように流れが変わってしまったのでしょうか。 終盤では追いついてくれて、あわやの期待を抱かせてくれましたが、残念です。でも、いい試合でした。
テレビでご覧になった方、KIMIKOコールを聞かれましたか?No.1コートの観客の殆どは伊達びいきでした。(美人は得ですね。) 中盤までの応援はもう一つ盛り上がりにかけました。どうやら原因が彼女の名前がイニシャルのKだけで分からない事にあると気が付き、「きみこー」とコールしてみました。この後、KIMIKOコールが至るところで掛かるようになった次第です。声にだしてみると、「伊達、頑張れ」などと日本語で言うより、「アレー、キミコ」とフランス人の振りをして言う方が言いやすく、乗れました。
Kimikoなき後、Roland Garros便りも暫く休ませて戴きます。(これ以上仕事をサボっていてはクビになってしまいます。) では、では。