テニスコート造成日記

アルジェリア高速道路工事、現場宿舎でのテニスコート造りの顛末


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一時帰国から戻るとテニスコート造成の決定がされていた。過去2回テニスコートの計画が一旦承認されたものの諸般の事情でストップした経緯がある。3回目の今回こそは実現しなければならない。雨季も近づいているのでそれまでに完成させなければならない。

3年前からこのプロジェクトで涙を飲み続けてきたYさんが一時帰国に入るため、代わりに私が担当エンジニアの任にあたることとなった。早速用地調査と設計を開始した。前回の計画時に知り合いから入手した「屋外スポーツ施設要覧―テニスコート編」がバイブルだ。 

コートはテニスだけでなく、フットサルとストリートバスケのコートを兼用する。規格ではテニスコート1面を取るには規格では38mx20mの土地が必要だ。宿舎内では十分な土地がないが、何とか36mx18mの用地を確保できた。フットサルも最小ではあるが規格内に収まる。 

明日にも施工を担当する舗装班と協議を進めて、すぐに工事に入る。忙しくなりそうだ。

 

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13日より整地作業が始まった。緩やかな勾配があるので、上側を削って下側に土を盛って均す。 

基本レイアウトも概ね完成した。普段は夕方5時に定時退社の私であるが、今週は7時まで残って図面を引いた。あとは、金網・扉施工図、テニスネット支柱とセンター固定金具施工図、フットサルゴールなどの詳細図を作る必要がある。





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高速道路工事が急に忙しくなってきたのでテニスコート造成工事がすっ飛んでしまうのではないかと心配したが、工事を担当する舗装班では工事を継続してくれることを確認できてホッとした。今日はテニスコートの設計と現場監督作業に専念した。大変な仕事だ。
 

フットサルのゴールは50φ程度のパイプで抜き差しできるものを想定していたが、シュートで簡単に折れてしまうことに気付いた。80□の角材のフレームを後ろからステイで支える構造が不可欠だ。しかし、重くなってゴールの移動が難しくなる。テニスの邪魔にならないよう、長手方向の長さに少し余裕があるので36mから38mに設計変更した。これならテニスのエンドラインからゴールまで5mあるのでテニスには問題はないだろう。横方向も通路を削って19mまで広げることにした。地均し中であったため変更は受け入れてもらえた。 

整地作業の途中で、埋設した電気ケーブルをパワーショベルで切ってしまった。キャンプでは仮設住居、事務所が改造を繰り返され、どこにどんなものが埋まっているか分からない。電気屋を読んで応急修理をしてもらう。暫くすると、今度は塩ビ配管が露出してきた。さて、どう対処したらよいものか・・・・ 

そんなこんなで走り回って1日が終わる。疲れた体を風呂で癒して、ビールを飲む。うまい!自分の設計したものが、少しずつ形になる喜びは格別だ。工事現場は3K職場だが、土木エンジニアの仕事の喜びが少し実感できた。


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このところ本線工事優先でなかなかコート工事が進まなかったが、今日は工事を進めてもらえた。031.5mmの砕石を敷いて均す作業が行われた。


テニスコート工事と高速道路工事の仕様を比較すると
次のようになる:
   高速道路  われらがコート
 路床   基準品質の土1m以上  適当
 路盤  0-63mmの砕石30cm  0-31.5oの砕石7cm
 GC3  0-31.5mm砕石4%のセメントで固化20p  なし
 基層  0-25mmの砕石アスファルトを14cm  0-25mm砕石アスファルト6cm
 表層  0-15mmの砕石アスファルトを6cm  0-15mm砕石アスファルト4cm


高速道路とは比べものにならないが、テニスコートとしては立派なものである。特にアスファルト
2層は贅沢なものだ。これで後々波打ったりすることが避けられる。 

今日は路盤工事の途中で、測量とネット支柱用スリーブのコンクリート打設が行われた。見に行くとコンクリート打ちが終わっていた。スリーブの位置を確認すると、こちらが出した設計図より15mm高くなっている。支柱部で15o高くなってもわれわれのテニスではそれほど影響するとも思えないが、やっぱり気になるので直してもらった。

今後の予定は、路盤工事があと1日、アスファルト舗装が1日、測量が数時間。これを今週中に終わらせることができれば、今週末(金)にテニス・フットサル仲間とライン引きができる。そして来週にはフェンスを張って来週末にお披露目が目標だ。しかし、本線工事から人と機材をいつ回せるかが不透明だ。




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昨日に続き路盤工事が行われた。グレーダーと呼ばれる大型の機械で路盤を水平に均し、震動ローラーで締め固める。正確に言うと水平ではなく、
0.7%の勾配がつけられて雨水が流れるようになっている。大きなグレーダーが狭いグランドで障害物を器用に避けながら均していく。驚くほどきれいな面ができる。路床、路盤工事ではグレーダー作業が重要で、オペレーターの技術が最も求められる領域とのことだ。


 
 





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テニスコートの舗装工事が終了した。思ったより相当に大掛かりな工事だ。フィニッシャーという機械でアスファルトを敷くが、テニスコートには大きすぎる機械だ。15人ほどの作業員が、機械の前と後ろで均し器具やスコップで作業する大掛かりなものだ。

 

1034日で舗装終了の予定だったが、初日の後ストップが掛かった。「高速道路本線の舗装も進んでいないのにテニスコートの舗装とは何事だ!」と言われたのかどうかは分からないが、「目立ち過ぎるので週末に実施」との指示がでて今日の作業となった。


アスファルトは2層となっているが、表層はそれほど細かい訳ではない。下層が25ミリ以下の砕石であるのに対して、表層は15ミリ以下の砕石が使われているだけで、表面はかなり粗く見える。高速道路では滑らないことと水はけが良いことが重要で、摩擦係数は高そうだ。これがテニスではどう影響するだろうか。ハードコートより遅くなってくれるがありがたい。

 

 





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今日からはフェンス工事で金網と照明用のポールの埋め込み作業が始まった。作業を見に行くと、テニスのネット支柱を抜き差しするためのスリーブに6メートルの照明用ポールを埋めてコンクリートで固めようとしているではないか!あぶないところだった。危うく、ネットが6メール高さになるところだった。

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フェンス工事に思いのほか時間がかかっている。本線工事でワーカーの数が確保できないのと、金網下のコンクリート用の型枠用足場材が不足しているため、コンクリート打設に4日もかかってしまった。そのため週末の完成目標が週明けに持ち越されてしまった。

今日は休みなのでネットを張って試打をしてみた。少し問題もあるが、とてもいい感じだ。感覚的なものだが、次のような印象だ:

かなり遅い。アンツーカーと同程度だろうか。通常のアスファルトコートの表面は細かい砕石が使われているが、道路仕様で摩擦係数が高いためか、遅いコートになったようだ。これはありがたい。
バウンド量が少ない。空気圧の少なくなったボールは殆ど弾まない。今度ニューボールでバウンド量をチェックしてみたい。
膝や足首の負担は思ったより少なそうだ。本部のコンクリートコートよりダメージはずっと少ない。




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ライン引きは雨の上がった昨日の午後から始め、今日は一日つきっきりでワーカー4人と一緒に行った。テニスとフットサルの四隅は測量されているが、念のため直角が出ているか確認する。すっかり忘れていたピタゴラスの定理だ。a2 + b2 = c2 で斜めの距離16.174mを計算して、その通りの長さが出ていることを確認。

 

先ずは各コーナーを結ぶ糸を張り、その内側5cmにもう1本糸を張る。その糸に沿ってマスキングテープを貼る。マスキングテープの内側を水性ペンキで塗る。油性ではアスファルトのせいで滲むので水性しか使えない。塗った後半日以上おいて二度目を塗る。


テニスを白、フットサルを黄とした。フットサルのセンターサークルはテニスコートなかで邪魔なのでなしとした。ペナルティーキックのポイントはテニスコートの内側になるが入れることにした。バスケットはフリースローのラインだけにして、フットサルのラインを使ってもらうこととなった。これで線だらけのコートは回避できた。

 

ライン引きは結構時間がかかり、結局二日がかりとなった。でもその努力が報われた。マスキングテープを剥がすと美しい線が浮かび上がる。感動の一瞬だ。

 




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ライン引きの前に済ませたかったが、照明工事が後になった。フォークリフトが白線上を走るところは段ボールを敷かせて走らせた。

 

ランプは1KWのハロゲンランプだが、フィリップスを希望しても決済が得られなかった。1\3,500のフィリップスと\400の中国製では値段で勝ち目はない。この中国製は現場で使っているが、2週間程度しか持たない。これに対してフィリップスは何か月も持つ。1日数時間程度の使用なので中国製でも数か月程度は持ってくれるものと期待することにする。

 

夜になってライティングを確認すると、光は均等に配分されて美しい。光量も十分だ。これでグランドは完成した。

 

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完成が近づいてくると野次馬が増えてくる。野次馬ならまだいいが、突然中に入って使いだすのがいる。揃いのユニフォームを着た発注者のサッカーチームだ。ゴールのペンキが塗ったばかりで乾いていないのに、OKOKと言いながら勝手に使う。何とか追い出したが、ルール作りが必要だ。 

キャンプ住人向けの設備として企画されたが、結局アルジェリア人枠を作って週日の夕方5時からの1時間を認めることとした。住人の方は、テニス、フットサル、バスケットボールの三者で分け合う時間割を作った。

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今日はトップによる始球式でオープニングを行う予定であったが、夕方から激しい雷雨となって中止となった。40km先では殆ど雨はなく、当地だけの激しいゲリラ豪雨だった。とんだオープニングの代わりに部門長が慰労会を開いてくれたのには感激した。アドバイスを受けながら、担当エンジニアとして何とか雨季直前の完成にこぎつけることができた。道路工事専門集団だけに出来栄えも最高だ。 

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テニス愛好会でのオープニング。夜半に雨は止み、朝方にはコートの雨は既に引いている。水はけも良好で、勾配と平面性も良く水たまりもできていない。そしてサーフェースは最高にいい。特に自分にとってはクレイ並みに遅く、足に優しいのが嬉しい。これが週に3日使えるなんて。それも徒歩1分のコートとは贅沢だ。もう監獄とは言えない。

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