99年4月4日、パリマラソン
マラソンコース
曇り、気温12度。絶好のコンディッション。45分前に並んでスタートを待つ。前から1/3程度の位置に付けられたが、待ち時間が長い。中にはしゃがんで小便をする者もいる。今日はどこで小便しても良い日なのであろう。
号砲が鳴って1:39でスタート点を通過。集団のペースはかなり速い。抑え気味に走ったが、シャンゼリゼの下り坂もあって1kmの入りが5:09。計画していた5:45ペースより相当に速い。その後も、周囲の流れから5:20前後で推移。心拍数は6km地点で160を超えるが苦しさはない。リボリ通り、バスティーユ、ナッションと走りやすいコースが続く。
10−20kmのヴァンセンヌの森を走るのは気持ちが良い。動物園、ヴァンセンヌ城、競馬場を通って森を出たところで中間点。1:55:39。速いペースではあるが、疲れもなく順調。
25km地点までは、5:25ペースでコンスタントに走れたが、ここから疲れを感じだしてペースが落ちてくる。エッフェル塔前の30km地点では5:40ペースまで落ちる。ここから先は走ったことのない未知の世界。32km地点で残り10kmを62分で走ればサブフォー達成と計算。これなら十分いける。
32km地点から上り坂が続いて苦しさが増すが、上りきってブーローニュの入り口。「33.7km 君は壁を撃破した!」と激励の横断幕。そうか、30kmの壁を超えたか、と思ったが壁は35kmにあった。ローランギャロステニス場を回りきったところで、35kmの給水・給食ポイント。角砂糖と干しブドウを水で流しこみ、さぁ走ろうと思ったが走り出せない。体はまだ大丈夫の筈だが、気力が出ない。「勇気をだして走れ!」と沿道から声を掛けられるが、どうにも走る気力が湧かない。この辺から歩き出している人も目立つ。
オートゥイユ競馬場に入るところで漸く走り出せた。6:10−30ペースではあるが、まだサブフォーは十分可能だ。オートゥイユ競馬場からロンシャン競馬場を抜ける。
体も疲れてはいるが、精神の方が先に疲労しきってしまったようだ。もう歩いてもいいじゃないかと思う気持ちをどうにも抑えられない。40kmの給食ポイントで、またしても走れない。サブフォーはもう無理だ。走る理由を失ってしまった。あと2kmしかないのに走れない。見かねた沿道の人が駆け寄って伴走してくれる。「歩くな、走れ。止まるな。もう少しだ。大丈夫だ。」と激励しながら走ってもらってかろうじて足が動く。
ゴールが見えてきてもどうにも力が出ない。スパートもなくゴールイン。初マラソンを走った感激もなく、とにかく終わったと座り込む。
記録は4:02:02。ロスタイムを引いて4:00:23。サブフォーには僅かながら及ばなかった。参加者22,800名、時間内(6時間)完走者17,443名中10,356位。中間点順位9,820位、30km地点順位9,786位。終盤で600人ほどに抜かれたということになる。
サブフォーはできなかったが、記録自体は目標を大きく上回って満足できるものであった。
参加者を見ると30台後半以降の中年の男性ランナーが圧倒的に多い。女性は1割もいない。マラソンと言うのは中年男の趣味なのかも知れない。自分の人生を振り返ってみて、何を成し遂げたのかと思う。そんな時、マラソンでも走ってみようかなどと思いつく。
そんなお父さんたちを力づけてくれるのは家族からの応援。沿道でも「パパ頑張れ」の垂れ幕や声援が多い。
今回のマラソンではインターネットでのライブ中継があり、出走者のタイムと順位を中間点、30km、ゴールで検索表示することができた。私の家族も日本からインターネットで私が各ポイントを通過するのを見ながら応援してくれた。
http://www.parismarathon.com/cgi-bin/usmclassement.pl
沿道の応援もフランスらしくて良い。日本語での応援と言うと「頑張れ」だけになってしまうが、フランス語での応援は語彙や表現が豊かだ。「頑張れ」に相当する激励の言葉は「勇気をだせ(Courage)」「行け(Allez)」。フランスの応援はこのタイプの激励も多いが、健闘を称え、誉める表現が多い。「君達はは素晴らしい、最高だ」「君ならできる」などなど。日本語では口に出して言えないが、言われてみると元気がでて励まされる。
パリマラソンのコースは起伏が少なく走りやすい。高速コースにするために、何度かコースをかえてきているとのこと。記録が出るようにペースメーカーも投入されている。トップグループの2時間8分のペースメーカーから、アマチュア向けの3時間、3時間半、4時間のペースメーカーまでいる。今回の優勝者はケニヤのJulius Rutoで2時間8分10秒の大会新。
次回は、7月のサンフランシスコ
、続いて9月のベルリンの予定。坂の多いサンフランシスコは完走目標、ベルリンでサブフォーを実現したい。
K君もめでたく4:58:31で完走。
La Tour d'Argentでの完走祝賀会は鴨のオレンジソース
99年3月7日、パリハーフマラソン
1万人参加のメジャー大会に初めて参加。気温8度、曇り時々小雨。寒い。
シャルレティ競技場前に30分前に並んで、位置はちょうど中ほど。10時号砲。スタート点までは足踏みで2分5秒。
スタートラインを超えるとスムーズに流れ出す。抑えなければいけないと思いながらも速いペースとなってしまう。1kmを4:49で通過。少し早すぎる。心拍数は早くも155。流れの中ではスピードを落としにくく、行けるところまで行こうと4分台後半ペースで続ける。3kmで心拍数は危険領域の175近くまであがってしまったが、不思議と苦しさはない。気分が高揚しているせいか。
7km地点までは市内の起伏のある道路で走りにくいが、ヴァンセンヌの森を周回する道路は高低差もなく、走りやすい。本番のパリマラソンもこの部分は同じコースとなる。森に入ると、立ち止まって立ちションする人が目立つ。道路脇には生垣もあり、スポンジを握りながら生垣の裏に回る人もいる。なるほど。スポンジはこんな使い道もあるのか。
1km5分弱のペースを維持して森を走る。心拍数は時々180台に上がるが、170台に下がるまでペースダウンする。森の周回で約10km。
森を出ると、ブールバール・ペリフェリック。ここからの最後の4kmが本当にきつい。かなり厳しいのぼり坂を三度駆け上がる。心臓の負担も頂点に達する。心拍計を見ると、なんと285拍!心臓が壊れてしまった。と思ったら、どうもセンサーの調子が悪くなってしまったようだ。上り坂ではペースは5分20秒程度まで落ちるが、あと3km、あと2kmと言い聞かせながらなんとか走る。
シャルレティ競技場が見えると最後の上り坂。これをのぼりきると、競技場のゲート。トラックに通ずるトンネル通路では、走りながら「おぉー、おぉー」と雄叫びをあげて、トラックになだれ込む。最後の200メートルを全力疾走してゴール。
月並みな表現ながら、感動の一瞬。1:47:13。ロスタイムを除くと、1:45:08。1km4:59ペースで走りきったことになる。前回の15kmレースのタイムよりかなり良い。メジャー大会での雰囲気が普段では考えられないスピードで走らせてしまったようだ。この調子だと、本番のパリマラソンではサブ4の可能性もあるかな。
http://www.parismarathon.com/semiclassement.html
ここでHanafusaと入れると、私の記録が。1262位、ゼッケン10826、HANAFUSA Takayuki、
01:32:37。えぇ?!これなら、サブ4どころかサブ3も狙えるじゃないか!
どうやら、私の受け取ったチップは1番違いの10825用のものであったらしい。こちらの方が正しいタイムで、順位は4154位。完走者が10200人なので満足できる順位。今までのレースでは、後ろから10−20%位の位置だったが、漸く平均的ランナーになった事が嬉しい。
一緒に参加したK君も2:06:05でめでたくハーフ初完走。前回のPorz 15kmからは著しい進歩。