ウィンブルドン行列のセキュリティについての質問をメールでいただくことがあったが、十分に答えることができなかったので2018年の行列で注意して見た。
|
|
駐車場隔壁 上:2018年 下:2016年 |
|
爆発物探知犬 |
2017年のウィンブルドン直前の6月にロンドンブリッジで暴走車によるテロがあった。その犯人の一人が、ウィンブルドンの警備を担当する会社に求職していた。幸い雇用されることはなかったが、ウィンブルドンがテロリストのターゲットになる可能性があることはこれで明白になった。会場入り口では空港ゲートと同じように探知機をくぐり、荷物を徹底的に調べられる。2017年の新聞には、アンディ・マリーの荷物も徹底的に調べられる写真が出ていた。会場に入ると、自動小銃など重装備の警官たちが巡回している。
では、1日1万人近くの人が来る行列はどうか。行列の最大の弱点は暴走車によるテロだ。ウィンブルドンパークは駐車場としても利用されるが、駐車場エリアの周りには大型のコンクリートブロックで囲われ、それぞれのブロックが太い鉄製の連結棒で繋がれている。これでは装甲車でもない限り突破はできない。もうひとつのリスクは爆弾によるテロだが、これに対しては3頭の爆発物探知犬が活躍している。テント周りは深夜でも警備員が見回りをしており、昼間は警官が周回している。われわれは厳重に守られている。不安を感じることは何ひとつなかった。
ロンドンに住む人たちはテロ対策についてどのように考えているのか、ロンドン在住の日本人の方に聞いた。MI5/MI6などの公安部隊がテロを未然に防いでいるケースもあるが、完全に防ぎきれない場合もある。しかし、ロンドン市民は、「どんなことがあっても普通の生活を続けることこそテロに負けないという意思表示だ」と揺るぎない。パリ市民からも同じことを聞いた。
テロに対する準備は万全のようであるが、ウィンブルドンにも悪い人間はいる。以下、身近での体験談:
Qカード詐欺
お恥ずかしい話だが、私自身がQカード詐欺に遭った。私はよほど抜けて見えるらしく(実際そうなのでしょうがないが)、スリや詐欺の被害に遭うことが多い(オリンピックチケット詐欺の顛末)。第4日の私の順番は510番でセンターでも好きなコートを選べるポジションであった。朝、行列が進みだしたところで、「家族と番号が離れてしまったので、427番とカードを交換してほしい。」必要がないので何度も断ったが、散々泣きつかれてしまい、まぁいいかと応じてしまった。行列が進み、最初のカードチェックで止められた。「427番は違反行為により除外されている」 事情を説明したが、もちろん当人の言葉など信じてもらえない。「前後の人が私の番号を知っているし、交換した事情も知っている」と説明し、善意の第三者の証人の話を聞いてもらって事なきを得た。もちろん、510番のカードを取った男は入れてもらえない。
教訓:
・テニスファンにも悪人はいる
・行列の前後の人とは仲良くしておくのが大切
Qカードに関して主催者からも注意喚起があり、「スチュワードになりすました人物から、Qカードに問題が出たので預からして欲しい、と言われても絶対に渡さないように!」 他人のQカードを盗んでも役に立たないのだが、別の誰かに売りつけるのかもしれない。
なりすまし警備員(?)日本人女性の怖い体験
今日センターコートでセレーナの試合を見て途中化粧室から出て来たら、ウィンブルドンのセキュリティだという男性に声をかけられ、角の方に連れて行かれてあれこれ質問を受けました。最初、チケットを狙った詐欺かと思って警戒したのですが、IDを下げていて本物のようでした。話を聞くと、私が化粧室に入って15分くらいたつから、他の人が心配している、と言われましたが、私はお化粧室に入って5分ほどで出ましたのでそのような事実はありませんでしたし、セキュリティの男性は完全に何かを疑っているような質問や話し方でした。
質問にきちんと全て答えましたので最終的には事なきを得たのですが、「沢山写真を撮っていたが何故か?」など聞かれて、記念の思い出のためにです。とありのまま答えたのですが、その後も泊まっているホテル名や主人の名前、生年月日、Qカードとパスポートのコピーもチェックされて、とても怖くて不安で不快な思いをしました。アジア人だから差別されたのでしょうか?そうとは思いたくないですが、可能性として、他のお客さんが私を怪しんでセキュリティに何か伝えたのかもしれません。と言っても本当に身に覚えがないのですが…。写真も常識の範囲で記念として取っていただけでした。
ちょうどその時主人とは離れていましたので、どうなる事かととても怖かったです。たまたま私が運悪く尋問のようなものを受けただけかもしれませんが一応ご報告しておきます。尋問されている間、フェデラー戦が今にも始まるのではないかと本当に焦り不安でしたし何よりちゃんと解放して貰えるのかどうか、生きた心地がしませんでした。
***
怖い体験談だが、正常なセキュリティスタッフの行動とはとても思えない。なりすまし、あるいは本物のセキュリティによる女性に対する異常行動か空き巣狙いかもしれない。このような時冷静に対応することは無理かもしれないが、ひたすら首を振って何も答えない、女性スタッフでないと答えられない、連れていかれそうになったらHelpと大声を出す、などの対応が必要かも知れない。
|