行列でのルール違反について
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近年、重大なルール違反の摘発と対処が厳しく行われるようになった。重大なルール違反とは、割り込み(テント設営時には一人だったが、その後Qカード配布前に友人を引き入れるなど)、身代わり(観戦当日の朝方に入れ替わるなど)、中抜け(長時間テントに戻らない、テントで眠らず近くのB&Bで泊まった後テントに戻るなど)やひどい迷惑行為(飲酒で騒ぐなど)。深夜には中抜けチェックが行われている。懐中電灯でテントを照らし、人の気配がない場合はテントを揺すり、さらに入り口を開けて確認していた。問題のあったテントは時間を置いて再チェックしている。こうした重大なルール違反は即刻退場となる。2018年のケースでは、朝3時半にテントを畳んでB&Bに行き、6時に戻ってきた人たちが違反者として排除された。公園を出るところで監視カメラに撮られていたので、抗弁が受け入れられなかったようだ。 もちろん合理的な説明の付く軽度の違反は認めてもらえる。私もQカード配布時に20分ほど遅れたことがあるが、行列の隣人が私の名前を伝えてくれていたことで事なきを得た。 われわれ日本人は整然と行列する国民として海外から称賛されることも多い。日本人は一般的にまじめで行儀が良いので、行列でルール違反をする人はいない筈と思いがちであるが、実はそうでもない。もちろん多くの人はそうではないが、「見えないところでズルをする」日本人もいる。「旅の恥はかき捨て」という悪いことわざもある。過去には、割り込み(並んでいなかった友だちを引き入れる)や中抜け(アパートに戻って寝た後に戻る)などを見聞きした。今回の残念なケースは、「一時預けで、テントの入ったバッグをキャンプ用品ではないと申告して、5ポンドのところを1ポンドにした」と自慢する初老の日本人男性。何をくすねているのかご存知なのだろうか。5ポンドは一時預けの費用をカバーするものではなく、チャリティに寄付されるものなのだ。 ウィンブルドンの主催者が多大なコストを掛けて行列の伝統を守っている中で、違反者が増えてそれを排除できないような事態に陥ると行列自体を廃止せざるを得なくなってしまうのではないかと危惧する。テニスを愛する人には、清く正しく並んで欲しいと切に願うばかりだ。
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